「アート」という言葉が一般的なものになっている一方、アーティストやクリエイターの制作環境は、個人によるところが大きくあるのが現状です。展覧会など成果発表の機会への支援はあるものの、クリエイションが生まれる場づくりへの支援は手薄で、その結果、創造活動を断念せざるを得ない状況があることも事実です。
SSKは、アーティストやクリエイターがよりよいものを生み出していくために「つくりつづけることができる」環境を提供し、創造活動を多面的にサポートします。
制作のためのスタジオは、通常、公開されることを前提とした場所ではありませんが、ここでは作品だけではなく、ユニークな空間でおこなわれる創造活動を、つくり手であるアーティストやクリエイターとともに広く、多くの方に見ていただける機会を積極的につくりたいと考えています。
SSKは、かつて名村造船所の倉庫として建設され、1階は重量物の倉庫と3階は製図室として利用されていました。造船業で栄えた地域の歴史を物語る建物が、その姿を留めながらも、新たに大阪のアートシーンを支える礎となっていくことを願っています。
大阪湾に近い木津川領域には、大正時代に多くの造船所が建設されました。第二次世界大戦後には造船所の盛況で北加賀屋エリアも大いに栄ましたが産業構造の変化に伴い造船所の移転が始まります。
1931年から北加賀屋で操業していた株式会社名村造船所も、佐賀県・伊万里に移転。大阪工場跡地は1989年以降休眠状態となりました。転機が訪れたのは2004年、近代化産業遺産であるこの地を芸術・文化の発信地として活用する取り組みが始まります。同年9月にこの遺産を舞台に30年間継続するアートプロジェクト「NAMURA ART MEETING ’04-‘34」がスタート。翌2005年には、造船所跡地を恒常的な創造スペースとして活用するため、「クリエイティブセンター大阪(CCO)」と名付けて多くのアーティストとクリエイターに活躍の場所を提供してきました。
また2009年からは、エリア内の空き地や工場跡を創造活動の場として安価で供し、北加賀屋を文化・芸術の集積する創造拠点として再生する「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想(KCV)」もスタート。創造活動を行うスペースがエリア内に現在40件あり、大阪の一大アートコミュニティとなっています。